介護福祉士 過去問
第38回(令和7年度)
問119 (総合問題 問6)
問題文
〔事例〕
Aさん(85歳、女性、要介護1)は、B住居型有料老人ホームで暮らしている。子どもはなく、親族もいない。Aさんは現在、外部の事業所から訪問介護サービスを週2回利用している。Aさんは駐車場を経営していて、毎月その収入がある。
最近、C訪問介護員(ホームヘルパー)は、Aさんの居室内の冷蔵庫の中に同じ食材がたくさん入っていることが多く、気になっていた。ある日、C訪問介護員(ホームヘルパー)がAさんに尋ねると、「近所のスーパーに買い物に行くのが楽しみだが、冷蔵庫の中に何があるのか忘れてしまい、同じものばかり買ってしまう」と答えた。また、「今は、毎月振り込まれる駐車場収入の管理ができているが、今後管理できなくなることが不安だ」と話した。その後、Aさんは、初期のアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)の診断を受けた。
その後、Aさんは認知症(dementia)が進行することを心配し、介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談して、同じ市内のD介護付き有料老人ホームに転居することになった。
転居してから2年後、Aさんの認知症(dementia)の症状は進行してきた。Aさんの担当となったE介護福祉職はサービス担当者会議で、「現在、Aさんの、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準は、ランクⅢaと考えられる。そこで、このランクに合った介護計画を立案したい」と提案し、他職種の承諾を得た。
D介護付き有料老人ホームに転居してから3年が経過した。Aさんの認知症(dementia)の症状は、さらに進行してきた。D介護付き有料老人ホームでは、施設の方針として、新たにパーソン・センタード・ケアを取り入れることになった。
次の記述のうち、E介護福祉職が介護計画を見直すときの方向性として、最も適切なものを1つ選びなさい。
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問題
介護福祉士試験 第38回(令和7年度) 問119(総合問題 問6) (訂正依頼・報告はこちら)
〔事例〕
Aさん(85歳、女性、要介護1)は、B住居型有料老人ホームで暮らしている。子どもはなく、親族もいない。Aさんは現在、外部の事業所から訪問介護サービスを週2回利用している。Aさんは駐車場を経営していて、毎月その収入がある。
最近、C訪問介護員(ホームヘルパー)は、Aさんの居室内の冷蔵庫の中に同じ食材がたくさん入っていることが多く、気になっていた。ある日、C訪問介護員(ホームヘルパー)がAさんに尋ねると、「近所のスーパーに買い物に行くのが楽しみだが、冷蔵庫の中に何があるのか忘れてしまい、同じものばかり買ってしまう」と答えた。また、「今は、毎月振り込まれる駐車場収入の管理ができているが、今後管理できなくなることが不安だ」と話した。その後、Aさんは、初期のアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)の診断を受けた。
その後、Aさんは認知症(dementia)が進行することを心配し、介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談して、同じ市内のD介護付き有料老人ホームに転居することになった。
転居してから2年後、Aさんの認知症(dementia)の症状は進行してきた。Aさんの担当となったE介護福祉職はサービス担当者会議で、「現在、Aさんの、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準は、ランクⅢaと考えられる。そこで、このランクに合った介護計画を立案したい」と提案し、他職種の承諾を得た。
D介護付き有料老人ホームに転居してから3年が経過した。Aさんの認知症(dementia)の症状は、さらに進行してきた。D介護付き有料老人ホームでは、施設の方針として、新たにパーソン・センタード・ケアを取り入れることになった。
次の記述のうち、E介護福祉職が介護計画を見直すときの方向性として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 認知症(dementia)の人の共通点に着目したケアマニュアルをつくる。
- 認知症(dementia)を治療する。
- 認知症(dementia)の人のその人らしさを支える。
- 認知症(dementia)の人を特別な存在として保護する。
- 行動・心理症状(BPSD)をなくす。
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この過去問の解説 (2件)
01
この問題は、「パーソン・センタード・ケアとはどのような考え方に基づいて、認知症の人を支援するのか」を問う問題です。
パーソン・センタード・ケアとは、認知症という病気を中心に考えるのではなく、一人の人間として、その人の個性や人生、価値観、思い、生活歴などを尊重してケアすることです。したがって、認知症の人のその人らしさを支えることが正解です。「認知症だからこうする」ではなく、「Aさんはどんな人で、何を大切にしてきたのか?」などを考えます。
以下が解説です。
不正解
これはパーソン・センタード・ケアとは逆方向です。認知症について一般的な知識を持つことは重要です。しかし、「認知症の人はみんなこうだ」と一括してしまうと、一人ひとりの個性を無視することになります。同じ認知症でも生活歴や好みは全く違います。
不正解
認知症の治療そのものは、基本的に医療職の領域です。介護職は、日常生活の支援や自立支援、安全の確保などを行います。また、パーソン・センタード・ケアは「認知症そのものを治す」ことを目的とする考え方ではありません。むしろ「認知症があっても、その人らしく生活できるように支援する」という考え方です。
正解
これがまさにパーソン・センタード・ケアです。「その人らしさ」という言葉が最大のヒントです。例えば、Aさんなら「買い物に行くのが楽しみ」という情報があります。単に、「認知症だから買い物は危険」と考えるのではなく、「買い物はAさんにとってどんな意味を持っていたのか?」を考え、そして安全面にも配慮しながら可能な範囲で本人らしい生活や楽しみを維持できる方法を検討します。これがパーソン・センタード・ケアの考え方です。
不正解
一見すると、「認知症の人を守る」ので良さそうに見えます。しかし「特別な存在として保護する」という考え方は適切ではありません。パーソン・センタード・ケアでは、「守る」のではなく本人の尊厳・意思・能力を尊重することが重要です。
不正解
行動・心理症状(BPSD)には徘徊や不安、妄想などがあります。BPSDを軽減することは重要ですが、それを介護の最終目的にするわけではありません。パーソン・センタード・ケアでは、「そういった症状や行動にはどんな意味があるのか?」と考えます。
介護現場では、認知症の症状だけを見て、「認知症だから〇〇する」と一律に対応するのではなく、「この人はどんな人生を送ってきたのか」「何を大切にしているのか」「今、何を望んでいるのか」を理解することが大切です。Aさんの場合も、「これまで大切にしてきたことを、今の能力に合わせてどう続けられるか」を考えます。
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02
この問題は、パーソン・センタード・ケアについて問われます。
パーソン・センタード・ケアとは、本人を1人の人として尊重し、
その人らしい生活をおくる為に、本人本位の支援を行う考えを言います。
誤りです。
認知症の人の共通点を分析することもケアの1つですが、
Aさんとその他の人を一括りにするようなケアは、
パーソン・センタード・ケアの方針と一致しません。
誤りです。
現代の医療では、症状の進行を遅らせることはできますが、
アルツハイマー型認知症を完全に治すことはできません。
介護福祉職は治療そのものについて専念するのではなく、
認知症であっても、その人らしい生活を支援することが大切です。
正解です。
記述の通り、認知症であってもその人らしさを支えていくことが、
介護福祉職の役割であり、パーソン・センタード・ケアの方針とも一致します。
誤りです。
認知症だからといって特別視することは適切ではありません。
Aさんに認知症による生活課題があっても自立して暮らしていけるよう、
支援していくことが大切です。
誤りです。
BPSDを減らしていくことも大切ですが、
BPSDは個人背景に深く左右されるため、なくすことに専念するというよりは、
なぜその症状が出ているのか、本人のことを知り、寄り添うケアが大切です。
介護福祉職は医療職ではないため、治療に特化したケアや画一的なケアではなく、
その人の生活について着目します。
その人らしさを尊重しますが過剰に保護することはなく、自立した暮らしを支援します。
BPSDの軽減は大切ですが、BPSDそのものに専念するというよりは、
性格や嗜好、生活史、ニーズ等、本人そのものに寄り添います。
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