介護福祉士 過去問
第38回(令和7年度)
問115 (総合問題 問2)

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問題

介護福祉士試験 第38回(令和7年度) 問115(総合問題 問2) (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで、問いに答えなさい。

〔事例〕
Aさん(66歳、女性)は、一人息子と二人で暮らしている。会社の趣味サークルや地域活動に熱心に参加してきた。半年前に、長年勤めた仕事を定年退職して、継続雇用で週2日の勤務になった。その頃から不眠を訴え、疲れやすく気持ちが落ち込む日が増えてきた。しばらくすると、睡眠中に大声をあげたり、息子の部屋までふらふらと歩いてきたり、自室のカーテンの花柄が動いて怖いと話したりするようになった。近隣の大学病院を受診した結果、手足の震え、小刻みな歩行、顔のこわばりなどがみられ、レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)の診断を受けた。
Aさんは、趣味活動や自宅で息子と過ごすことを優先し、これからの生活を楽しみたいと考えて、仕事を辞めた。そして、安全に歩く力を維持するために介護サービスを活用しようと考えた。Aさんは要支援2の認定を受けて、介護予防通所リハビリテーションの利用を始めた。

ある日、送迎のときに、介護予防通所リハビリテーション事業所のB介護福祉職は、息子から、日々の症状に変動がある母を自宅で介護をするときにどのようなことに注意すべきか、と聞かれた。B介護福祉職は事業所で多職種ミーティングを行ってから返答することにした。
次の記述のうち、B介護福祉職の息子への助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 視覚的環境からの影響を防ぐために、自室のカーテンを無地のものに変更する。
  • 下肢筋力を維持するために、毎日決まった時間に同じ運動をする。
  • 転倒を防止するために、Aさんの外出の機会を減らす。
  • 夜間は部屋をできるだけ明るく照らすために、直接照明を用いる。
  • 着脱をしやすくするために、ボタン止めの衣服を使用する。

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題は前問に続き、レビー小体型認知症の知識を問われます。

レビー小体型認知症の症状の1つに、幻視があります。

幻視は床や壁の模様やシミ、影等が動いている虫に見えたり、

いないはずの人に見える症状です。

選択肢1. 視覚的環境からの影響を防ぐために、自室のカーテンを無地のものに変更する。

正解です。

レビー小体型認知症の症状の1つである幻視は、

室内の壁の模様や影、シミ等を、虫やいないはずの人に見える症状です。

改善策の1つとして、カーテンを無地のものにすることが有効となる可能性があります。

選択肢2. 下肢筋力を維持するために、毎日決まった時間に同じ運動をする。

誤りです。

習慣的に下肢筋力維持の為の運動をすることも大切ですが、

息子からAさんの症状は、日々変動があると言われています。

症状が重いタイミングで運動を行うのは適切とは言えません。

選択肢3. 転倒を防止するために、Aさんの外出の機会を減らす。

誤りです。

外出の機会を減らしてしまうと、下肢筋力の大幅な低下だけでなく、

今まで趣味サークルや地域活動に、熱心に参加していたAさんの生活史や、

今後も趣味活動を楽しみたいというAさんのニーズに反した選択となります。

選択肢4. 夜間は部屋をできるだけ明るく照らすために、直接照明を用いる。

誤りです。

夕方の薄暗い時間帯に直接照明を用いて影をなるべく作らないことは良い対策ですが、

夜間も同様に行うと睡眠の妨げとなり、

かえって症状を悪化させてしまう場合があります。

夜間はトイレへの移動の為に、足元灯を使用すると安全性が増します。

選択肢5. 着脱をしやすくするために、ボタン止めの衣服を使用する。

誤りです。

レビー小体型認知症の症状の1つに手の震え(振戦)があります。

手が震えているとボタンの止め外しが難しくなります。

ボタン止めの衣服より、伸びやすい生地の衣服等が着脱しやすくなります。

まとめ

壁の模様やシミ等は幻視を誘発する為、

模様をシンプルにすることが有効と考えられています。

下肢筋力維持は大切ですが、運動の時間は症状の度合いに合わせて柔軟に行います。

直接照明は薄暗い時間帯になる前に、影を作らないように使用すると効果的です。

パーキンソン症状がある為、ボタン止めの衣服でない方が着脱しやすくなります。

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02

この問題は、「レビー小体型認知症の利用者様に対して、症状の特徴を踏まえて、どのような環境調整を行うことが適切か」を問う問題です。

 

特に重要なのは、

・レビー小体型認知症では幻視がみられる

・視覚的な刺激を減らし、分かりやすい環境をつくる

・パーキンソン病による転倒にも注意する

・過度に活動を制限するのは不適切

というポイントです。

 

今回の問題では、「幻視」+「パーキンソン病」がポイントになります。

選択肢1. 視覚的環境からの影響を防ぐために、自室のカーテンを無地のものに変更する。

正解

 

Aさんは、「自室のカーテンの花柄が動いて怖い」と訴えています。これは、レビー小体型認知症に特徴的な幻視や視覚認知の異常を考える重要な情報です。花柄のような複雑な模様は、本人にとって「何かが動いている」などと誤認する原因になる可能性があります。そのため、複雑な模様→視覚的な刺激を減らす→無地など、シンプルで分かりやすい環境にするという対応が適切です。

選択肢2. 下肢筋力を維持するために、毎日決まった時間に同じ運動をする。

不正解

 

レビー小体型認知症では、症状に変動がみられることがあります。Aさんも「日々の症状に変動がある」と息子から説明されています。つまり、今日は身体の調子が良い→運動できる。または逆のパターンということがあります。したがって、一律の方法は不適切です。

選択肢3. 転倒を防止するために、Aさんの外出の機会を減らす。

不正解

 

Aさんはもともと趣味サークルや地域活動に熱心に参加していました。そして、趣味活動や息子との生活を大切にして、これからの生活を楽しみたいと考えています。つまり、社会参加や趣味活動はAさんにとって大切な生活の一部です。活動そのものを制限するのは適切ではありません。

選択肢4. 夜間は部屋をできるだけ明るく照らすために、直接照明を用いる。

不正解

 

Aさんは幻視と視覚認知の異常があります。直接照明によって、影ができ、物が別のものに見えるなどの視覚的な混乱を招く可能性があります。そのためできるだけ明るく照らすことは不適切です。

 

選択肢5. 着脱をしやすくするために、ボタン止めの衣服を使用する。

不正解

 

Aさんにはパーキンソン病の症状があり、

・手足の震え

・筋固縮

・動作の遅さ

などがあります。そのため、衣類の着脱がしやすい工夫自体は大切です。しかし、ボタン付きの衣類は細かい手指動作が必要になります。

まとめ

介護の現場では、レビー小体型認知症の利用者様に対しては「見えているものが現実ではないから、間違いですよ」と否定するのではなく、本人の不安を受け止めたうえで、視覚的な刺激を減らしたり、環境をシンプルにしたりすることが大切です。

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