介護福祉士 過去問
第38回(令和7年度)
問113 (介護過程 問8)

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問題

介護福祉士試験 第38回(令和7年度) 問113(介護過程 問8) (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで、問いに答えなさい。

〔事例〕
Aさん(50歳、男性、障害支援区分3)は、中度の知的障害がある。身体機能に問題はないが、遂行機能に障害がある。短い言葉での意思表示はできる。両親は亡くなっている。姉が近くに住んでいるが、同居は難しく、共同生活援助(グループホーム)へ入居した。入居時に短期目標を「生活のリズムを整える」と設定し、順調に進んでいた。日中は就労継続支援B型事業所に通っている。
共同生活援助(グループホーム)の生活に慣れてきた頃、Aさんは日中活動を休むようになった。心配した生活支援員が居室を訪ねると、Aさんが、「昨日も、遊びに来た隣室の友人が、散らかっている部屋を見て笑った。前はきれいにできていたのに」と自信をなくしている様子であった。
生活支援員がAさんの居室を確認すると、趣味で集めているアニメグッズや衣服が増えていて、きれいにしていた自室内に散乱していた。

後日、カンファレンスが開かれ、短期目標についての見直しが検討された。
次の記述のうち、見直された短期目標として、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 趣味を変更する。
  • 現在の自室の状態を維持する。
  • 衣服を部屋の隅に寄せる。
  • 日中活動の事業所を変更する。
  • 自室を整理整頓する。

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題は、介護過程における目標設定のあり方について問われます。

利用者の現在の生活課題を分析し、具体的で達成可能な目標を立てていきます。

これまで繰り返し解説してるように、目標設定も利用者本位であることが原則です。

また、趣味は本人の生活史の中で重要かつ自発的な要素となります。

したがって利用者の趣味は尊重することもポイントになります。

選択肢1. 趣味を変更する。

誤りです。

アニメグッズや衣服を集める趣味は、Aさんの生活史の中で、

楽しみとして繰り返し行っていた自発的な活動です。

それを他者の都合で変更することは自尊心の低下につながります。

選択肢2. 現在の自室の状態を維持する。

誤りです。

現在の自室の状態はアニメグッズや衣服が増えたことにより、

散乱している為、維持することが望ましいとは言えません。

選択肢3. 衣服を部屋の隅に寄せる。

誤りです。

衣服を隅に寄せれば自室内にスペースはできますが、

それだけではアニメグッズや衣服が増えたことによる散乱が、

改善できたとは言えません。

選択肢4. 日中活動の事業所を変更する。

誤りです。

現在のAさんの生活課題は、

自室が上手く整頓出来ないことによる自信喪失にあります。

事業所を変更しても、その課題解決にはなりません。

選択肢5. 自室を整理整頓する。

正解です。

以前のように自室の整理整頓ができることにより、

なくしていた自信の回復に繋げることができます。

自信を回復する前段階のステップにもなります。

まとめ

問題の記述から現在のAさんの生活課題は、

自室が上手く整頓出来ないことによる自信喪失と読み取れます。

これを読み取れるとほとんどの誤答を回避することができます。

衣服を部屋の隅に寄せる選択肢も細かいステップという意味では、

有効とも考えられますが、不十分なアクションであることと、

アニメグッズや衣類は増えているとのことなので、長期的には望ましくない選択肢と想定できます。

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02

この問題は、「介護過程において、アセスメントで把握した新たな生活課題をもとに、短期目標をどのように見直すか」を問う問題です。

 

特に重要なのは、

・短期目標は利用者様の具体的な生活課題に基づいて設定する

・「本人ができるようになること」を目標にする

・趣味やサービスを一方的に変えることを目標にしない

という点です。

 

Aさんには遂行機能障害があります。そのため、「物が増えたことで、整理整頓を計画的に行うことが難しくなっている」可能性があります。そして、部屋が散らかる→友人に笑われる→自身をなくす→日中活動を休むという悪循環につながっています。

 

したがって、今回の新しい生活課題は「自室を整理整頓できるようにすること」と考えられます。

以下が解説です。

選択肢1. 趣味を変更する。

不正解

 

趣味はAさんにとって、楽しみや生きがい、自己表現である可能性があります。問題なのは、趣味そのものではなく、物が増えたことで生活空間を整理することが難しくなっていることです。したがって趣味を変えるのではなく、趣味を続けながら整理整頓できる方法を考えるのが利用者主体の支援です。

選択肢2. 現在の自室の状態を維持する。

不正解

 

現在の自室は、アニメグッズや衣類が散乱している状態です。つまり「現状維持」では、現在の生活課題が解決されません。むしろ「散らかった状態をそのままにする」ことになっていしまいます。短期目標は現状をそのまま維持することではなく、生活課題を改善する方向に設定する必要があります。

選択肢3. 衣服を部屋の隅に寄せる。

不正解

 

これは「整理整頓」という生活課題を十分に解決していません。衣類を部屋の隅に移動しただけなら、散らかったものを別の場所に移しただけになってしまいます。短期目標は単なる作業ではありません。例えば「衣類を部屋の隅に寄せる」より、「自室を整理整頓する」のほうが、生活環境の改善という目標に合っています。

選択肢4. 日中活動の事業所を変更する。

不正解

 

今回Aさんが日中活動を休むようになった背景には、自室の散乱→友人に笑われた→自身をなくしたという可能性があります。したがってまずは自室の整理整頓という生活課題に対することが必要です。日中活動の事業所を変更することは、短期目標として適切ではありません。

選択肢5. 自室を整理整頓する。

正解

 

短期目標は利用者様の生活課題を踏まえて、具体的に何が出来るようになるかを設定します。今回なら生活課題の「趣味の物や衣類が増え、自室の整理整頓が難しくなっている」→短期目標の「自室を整理整頓する」というつながりになります。

ポイントは、Aさんの現在の具体的な生活課題に直接対応していることです。Aさんが、自分の生活環境を整えることができるようになることを目指しています。

まとめ

「部屋が汚いから片付けましょう」と職員が全部片づけてしまうのではありません。Aさんには遂行機能障害があるので「どうやって片付ければいいのか分からない」可能性を考えます。そこで「衣類を分けよう」→「この箱にアニメグッズを入れよう」→「この隅をグッズの場所にしよう」というように、手順を具体的にしてAさん自身ができる部分を残して支援することが大切です。そうすると、単に部屋が綺麗になるだけではなく、「自分でできた」という経験にもつながります

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