介護福祉士 過去問
第37回(令和6年度)
問122 (総合問題 問9)

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問題

介護福祉士試験 第37回(令和6年度) 問122(総合問題 問9) (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで、問いに答えなさい。
〔事例〕
Dさん(男性、障害支援区分4)は、ベッカー型筋ジストロフィー(Becker muscular dystrophy)である。自宅で家族と生活をしている。Dさんは、食事は自立しているが、排泄(はいせつ)、入浴に介護が必要である。歩行はできず、移動は電動車いすを使用している。絵を描くことが趣味であり、日中は創作活動に取り組んでいる。
これまでDさんは自宅で家族の介護を受けながら生活してきたが、Dさんの身体機能の低下に伴い、家族の介護負担が増えたため、居宅介護を利用することになった。

Dさんが居宅介護を利用してから数年が経過し、Dさんの身体機能は徐々に低下して、着替えに時間がかかるようになった。Dさんは自分のことはできるだけ自分で行いたいという思いがあり、時間がかかっても自分で着替えをしていた。ある日、DさんはF介護福祉職に、「着替えをすると疲れてしまい、絵を描くことができない」とつぶやいた。
F介護福祉職は、「着替えは私たちや家族の介護を利用して、Dさんは好きな絵を描いたらいいのではないですか」と伝えた。その後、Dさんは介護福祉職と家族の介護を利用して、短時間で着替えを済ませ、絵を描くことに専念できるようになった。
F介護福祉職が発言した自立観を示した人物として、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ヴィクトール・フランクル(Frankl, V.)
  • バンク-ミケルセン(Bank−Mikkelsen, N.)
  • エド・ロバーツ(Roberts, E.)
  • フェリックス・バイステック(Biestek, F.)
  • ミルトン・メイヤロフ(Mayeroff, M.)

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この過去問の解説 (3件)

01

歴史上の人物と介護提唱を結びつける問題は多く出題されます。

重要人物を整理しておきましょう。

 

・バンク・ミケルセン:障害の有無に関わらず、全ての人が普通の生活を送ることができる社会の仕組みを提唱した     

・ヴィクトール・フランクル:「創造価値」「体験価値」「態度価値」という人生の意味を満たす”3つの価値”を提唱した

・エド・ロバーツ:障害者の自立の問題に向き合い、自立生活運動を行なった「自立生活の父」

・フェリックス・P・バイスティック:「ケースワークの原則」を提唱した

:ミルトン・メイヤロフ:ケアリングを「相手の成長・自己実現を助ける」とし、ケアの本質を広めた

選択肢1. ヴィクトール・フランクル(Frankl, V.)

×:人生の3つの価値を提唱した人物であるため、適切ではありません。

選択肢2. バンク-ミケルセン(Bank−Mikkelsen, N.)

×:障害の有無に限らず平等な生活を送れることを提唱した人物です。

選択肢3. エド・ロバーツ(Roberts, E.)

⚪︎:こちらが適切です。自立支援運動を行い、障害者支援に尽力を注ぎました。

選択肢4. フェリックス・バイステック(Biestek, F.)

×:介護現場に役立つ「バイスティックの7原則」を提唱しました。

選択肢5. ミルトン・メイヤロフ(Mayeroff, M.)

×:ケアリングを自己実現の手助けとし、ケアの本質を広めた人物です。

参考になった数74

02

障害者の自立生活の支援活動や権利の主張をしたり自立観を示した人物は国内外問わず数多く存在します。その中でも残した功績や影響力から現在でも広く知られている理念があり、障害者支援の勉強をする上で何度も耳にしますが人物と内容を間違えないように注意しましょう。

選択肢1. ヴィクトール・フランクル(Frankl, V.)

不正解です。

ヴィクトール・フランクルはオーストリアの精神科医・心理学者です。生きる意味の大切さや、壮絶な体験を通しての人の精神的な強さなどについていくつもの名言が残されています。障害者の自立観とは異なるため適切ではありません。

選択肢2. バンク-ミケルセン(Bank−Mikkelsen, N.)

不正解です。

バンク-ミケルセンはデンマークの社会運動家です。知的障害者が障害のない人と同じように生活できるよう社会環境を整えることを目指した「ノーマライゼーション」の理念を広めました。

選択肢3. エド・ロバーツ(Roberts, E.)

正解です。

エド・ロバーツはアメリカの医師・コンピューター技術者です。パーソナルコンピュータを開発したことでも知られていますが、一方で障害者の自立生活を支援する活動を行いました。また「人の手助けを借りて15分で衣類を着て仕事に出かけられる人間は、自分で衣類を着るのに2時間かかるために家にいるほかない人間よりも自立している」という名言を残しています。

選択肢4. フェリックス・バイステック(Biestek, F.)

不正解です。

フェリックス・バイステックはアメリカの社会福祉学者です。「バイスティック7原則」と呼ばれる援助の基本原則を記し、今でも人との関わりやコミュニケーションが重要となる場所で活用されています。

選択肢5. ミルトン・メイヤロフ(Mayeroff, M.)

不正解です。

ミルトン・メイヤロフはアメリカの哲学者です。ケアリング(思いやり、世話)について研究し「他者をケアすることで、ケアする側も成長する」といった考え方などを残しています。

参考になった数21

03

適切なものは、エド・ロバーツ(Roberts, E.)です。

この事例で大切なのは、自立とは、すべてを自分一人で行うことだけではないという考え方です。Dさんは着替えを自分で行いたい気持ちがありましたが、それによって疲れてしまい、大切な創作活動ができなくなっていました。そこでF介護福祉職は、着替えは介護を利用し、Dさんが本当に大切にしたい絵を描く時間を確保するように提案しました。

これは、必要な支援を使いながら、本人が自分の生活を選んでいくという自立生活運動の考え方に合います。エド・ロバーツは、障害のある人の自立生活運動を進めた中心的な人物として知られています。

選択肢1. ヴィクトール・フランクル(Frankl, V.)

これは適切ではありません。

ヴィクトール・フランクルは、人生の意味を見いだすことを重視したロゴセラピーで知られる人物です。つらい状況の中でも、人は生きる意味を見つけることができるという考え方に関係します。

Dさんにとって絵を描くことは大切な活動ですが、この問題で問われているのは、人生の意味ではなく、介護を利用しながら自分らしく生活する自立観です。そのため、フランクルは最も適切とはいえません。

選択肢2. バンク-ミケルセン(Bank−Mikkelsen, N.)

これは適切ではありません。

バンク-ミケルセンは、ノーマライゼーションの考え方に関係する人物です。ノーマライゼーションとは、障害のある人も、地域の中で普通の生活に近い暮らしができるようにするという考え方です。

Dさんの事例も地域での生活に関係しますが、F介護福祉職の発言の中心は、普通の生活を保障することよりも、支援を使って本人が望む生活を選ぶことです。そのため、この選択肢は最も適切ではありません。

選択肢3. エド・ロバーツ(Roberts, E.)

これは適切な記述です。

エド・ロバーツは、障害のある人の自立生活運動に大きく関わった人物です。自立生活の考え方では、自立を「何でも自分で行うこと」とは考えません。大切なのは、必要な介護や支援を利用しながら、自分の生活を自分で選び、自分らしく生きることです。自立生活運動は、障害のある人が自分の生活や意思決定を自分でコントロールすることを重視します。

Dさんは、着替えを自分ですることに体力を使いすぎて、好きな絵を描けなくなっていました。F介護福祉職は、着替えに介護を利用し、Dさんが大切にしている創作活動に力を使えるように提案しています。

選択肢4. フェリックス・バイステック(Biestek, F.)

これは適切ではありません。

フェリックス・バイステックは、援助者と利用者が信頼関係をつくるためのバイステックの7原則で知られています。たとえば、利用者を一人の人として大切にすること、気持ちを受け止めること、自己決定を尊重することなどが含まれます。

Dさんの思いを尊重するという点では関係がありますが、この問題で問われている中心は、面接援助の原則ではなく、障害のある人の自立生活の考え方です。そのため、最も適切ではありません。

選択肢5. ミルトン・メイヤロフ(Mayeroff, M.)

これは適切ではありません。

ミルトン・メイヤロフは、ケアリングの考え方で知られる人物です。ケアリングとは、相手の成長やその人らしい生き方を支える関わりを大切にする考え方です。

F介護福祉職の関わりには、Dさんの思いを大切にするケアの姿勢もあります。しかし、この問題で最も問われているのは、介護を使うことで本人の望む生活を実現するという自立生活の考え方です。そのため、メイヤロフは最も適切ではありません。

まとめ

覚えておくポイントは、自立とは、何でも一人で行うことではないということです。

障害のある人の自立では、必要な介護や福祉サービスを使いながら、本人が自分の生活を選び、自分らしく暮らすことが大切です。

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