介護福祉士 過去問
第37回(令和6年度)
問76 (コミュニケーション技術 問3)

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問題

介護福祉士試験 第37回(令和6年度) 問76(コミュニケーション技術 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

Aさん(80歳、男性、要介護3)は、介護老人福祉施設に入所している。アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)が進行している。ある日の昼食時、介護福祉職がAさんに配膳すると、「お金はこれしかありません。足りますか」と小さくたたまれたティッシュペーパーを渡してきた。
このときのAさんに対する介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ティッシュペーパーは、口の周りが汚れたら拭くものだと伝える。
  • ティッシュペーパーが不足しているサインとして受け止める。
  • 飲食店での会計の場面であると認識して対応する。
  • 食事に集中するように促す。
  • 小遣いの増額を家族に相談する。

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この過去問の解説 (3件)

01

アルツハイマー型認知症は、記憶障害や見当識障害(時間や場所、人が分からなくなること)、さらに状況判断の低下がみられます

つまり、この場合は時間や場所の見当識障害の一例です。

このようなときは、Aさんが安心して食事ができるように支援することが求められます。

 

ポイントとしては、

・現実を押し付けない

・安心感を与える対応を心がける

・本人の立場や思いを尊重する

などです。

選択肢1. ティッシュペーパーは、口の周りが汚れたら拭くものだと伝える。

×

現実をつきつける対応は、Aさんの不安を解消するどころか混乱や不快感を招く可能性があります。

認知症ケアでは、現実を強調するよりも本人の思いを受け止める対応が重要です。

選択肢2. ティッシュペーパーが不足しているサインとして受け止める。

×

Aさんはティッシュが足りないと訴えているわけではなく、ティッシュをお金と認識して渡しています。

 

選択肢3. 飲食店での会計の場面であると認識して対応する。

Aさんは、自分が飲食店で食事をしていると誤認し、「お金を払う必要がある」と不安を抱えている状況です。

本人の世界観を尊重し、不安を軽減するアプローチが求められます。

選択肢4. 食事に集中するように促す。

×

不安を抱えている状態では食事の声掛けをしても、食事がすすまないことがあります。

まずはAさんの不安を解消し、安心できる状況を作ることが優先です。

選択肢5. 小遣いの増額を家族に相談する。

×

実際の経済的な問題ではなく、見当識障害によるものです。

そのために根本的な解決にならず、適切な対応とはいえません。

まとめ

まとめ

この問題は、認知症支援の姿勢を問うものです。見当識障害により現実と異なる状況を認識して不安を感じることがあります。

本人の感じている世界観に合わせ、不安を和らげる声掛けや対応を行うことがもとめられます。

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02

正解は「飲食店での会計の場面であると認識して対応する」です。

 

ティッシュペーパーをお金と認識していることから、アルツハイマー型認知症の症状の1つである見当識障害があるとわかります。
Aさんの気持ちを尊重し、寄り添ってあげましょう。

選択肢1. ティッシュペーパーは、口の周りが汚れたら拭くものだと伝える。

不適切

 

Aはお金と認識しているので、訂正するような対応をしても伝わりません。

選択肢2. ティッシュペーパーが不足しているサインとして受け止める。

不適切

 

Aさんは、ティッシュペーパーという認識ではないので不足していることを伝えたいわけではありません。

選択肢3. 飲食店での会計の場面であると認識して対応する。

適切

 

Aさんはティッシュペーパーをお金と認識しているので、会計の場面として対応することが最も適切だといえます。

選択肢4. 食事に集中するように促す。

不適切

 

Aさんは「お金が足りるのか」という不安があります。
その不安を解消しなければ、食事を促したとしてもAさんは食べないでしょう。

選択肢5. 小遣いの増額を家族に相談する。

不適切

 

お金を持たせることで安心感がでると思われがちですが、金銭トラブルが想定されるので適切な対応とはいえません。

まとめ

今回の問題は、アルツハイマー型認知症の見当識障害に関するものでした。

 

見当識障害は、時間や場所、人物に対する認識が困難になります。
焦らすことなくじっくりと寄り添うような対応を心がけましょう。

参考になった数3

03

この問題でのポイントは

アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)の特徴を押さえること。Aさんの「お金はこれしかありません。足りますか」と小さくたたまれたティッシュペーパーを渡してきた。という行動に関していかに相手の行動を理解できるか、です。

 

アルツハイマー型認知症の主な症状として

 記憶障害

 見当識障害(日付がわからなくなり、時間の感覚が分からなくなること

 心理周辺症状(大事な物が無くなった、盗られたと人を責めたりする「物盗られ妄想」や、外へ出てウロウロする「徘徊」など)

があげられます。

 

選択肢1. ティッシュペーパーは、口の周りが汚れたら拭くものだと伝える。

×

認知症の方へ間違いを正すような対応は、混乱や不安を強めてしまう可能性があります。

選択肢2. ティッシュペーパーが不足しているサインとして受け止める。

×

ティッシュペーパーが不足しているというサインではなく、Aさんはティッシュペーパーをお金と勘違いしている可能性が高いです。

 

選択肢3. 飲食店での会計の場面であると認識して対応する。

Aさんの言動から現在いる場所を飲食店と勘違いしている可能性が高いです(見当識障害)。

ご本人が安心するよう「お金は足りています」や「お会計は済んでいますよ」などの声掛けをして安心していただくような対応が大切です。

選択肢4. 食事に集中するように促す。

×

Aさんの不安を解消せずに食事を促すことで更に不安や混乱を招く可能性があります。

選択肢5. 小遣いの増額を家族に相談する。

×

Aさんの行動は経済的不安を示唆するものではありません。

 

まとめ

認知症の方への接し方に関する問題でした。まずは認知症の症状や特徴を理解し、ご本人の行動や言動の意味を理解し、否定することなく対応することが重要です。

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